その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
「それで、二人はどうやって出会ったんですか?」
「最初の出会いは今年の年始での――」

ひよりの目がキラキラと輝く中、真澄が淡々と打ち合わせ通りのストーリーを語り始める。

(うわ…本当に話してる……)

交際ゼロ日婚のはずなのに、半年付き合ったみたいな話ぶり。澪は笑顔を保ちながらも、顔がひきつりそうになるのを必死にこらえていた。

「それで、お姉ちゃんのどこがよかったんですか?」
「もうひより!」
「――そうですね……彼女のひたむきで優しいところでしょうか。一緒にいて、とても安心できたんです」

そう言って真澄が微笑みながらこちらを見た。
目が合った瞬間の熱っぽいまなざしに、思わず息が詰まりそうになる。

(……えっ、え、ちょっとなに……!?)

ただでさえ整った顔が柔らかく微笑むとやけに印象的で、嫌でも胸がドキドキしてしまう。

(この人本当は医者じゃなくて、役者なんじゃ…?)

じわじわと頬が熱くなるのを感じながら、澪は思わず見惚れてしまった自分に気づいて目を逸らしてしまった。

「きゃー、お姉ちゃんってば愛されてるじゃん!」
「うふふ、こういう人となら安心してまかせられるわね」

ひよりがきゃっきゃとはしゃいで、祖母もにこにこ笑っている。

「堅苦しいご挨拶はそれくらいにして――いただいたケーキでもいただきましょうかね」

祖母が立ち上がって冷蔵庫から真澄の手土産を取り出してくる。澪はその間にお皿とフォークを並べて、ひよりと祖母が好みのケーキをそれぞれ取り分けた。

「柊木さんはどれにしますか?」
「君が先に好きなほうを選んでいい」

じゃあモンブランにしようかな、とお皿を取ろうとしたとき、斜め向かいからジ…と鋭い視線を感じて手が止まる。

「どうしたのひより?」
「ねえ、お姉ちゃんってばまだ柊木さんって呼んでるの?」
「え?」

(うわ、やっちゃった……!!)

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