その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 ひよりは昔から勘が鋭いというか、何気なく核心を突いてくるタイプだった。

 ここまでそれなりに順調に来ていたのに。
 澪はあたふたと咄嗟に言い訳を探す。

 「あっ、違うの、これは何ていうか…」

 「――私のほうが仕事の都合で、なかなか時間が取れなくて。交際期間は半年といっても、直接会う機会は多くなかったんです。
 だから早めに結婚して、一緒に暮らせたらという話になりまして」

 横から助け舟のように言葉を挟む真澄。
 まるで打ち合わせしていたかのように自然で、何の動揺も見せていない。

 そのうえで、あっさりとこちらを見て「ね?」と目線で促してくる。

 (…すごい、アドリブまで完璧……)

 「……そ、そういうことなの」

 顔を赤くしながら、澪もなんとか頷いた。

 「なるほどね~!お姉ちゃんって昔からそういうとこあるよね。真面目で、距離感つかむのがちょっと遅いの!」
 「ひより…!!」
 「いいじゃん。結婚が決まってるなら、これからステップアップしていけば~?」

 ニヤニヤしながらお茶をすするひよりと、それに笑って頷く祖母。

 (……お願い、もう早くこの時間が過ぎ去ってほしい……!)

 心の中で本気でそう願いながら、フォークを口に運ぶ。
 味はちゃんと美味しいはずなのに、今はもうそれどころじゃなかった。

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