その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
「ボストン、ですか?」
「国際学会だ。俺も発表がある。澪にも同伴してほしいから、予定を調整しておいてもらえると助かる」
「え、私も……!?」
思わず飲みかけていたコーヒーカップを傾けそうになり、慌てて持ち直す。
「あぁ、海外での学会では配偶者同伴が一般的だから」
入籍して真澄と夫婦になったけれど、澪が会社で騒がれた以外に大きな変化はなかった。真澄の職場の人に紹介されたわけでもなく、自分が『柊木真澄の妻』だと実感するのは家で彼と向かい合っているときくらい。
(私が妻として、この人の隣りに立つの…?)
華やかな会場で、大勢の人の目に触れながら――彼の妻として。何だか思考が追いつかない。
「パスポートは?」
「ありますけど、まだ氏名変更してません…」
大学の卒業旅行以来使っていなかったパスポート。しばらく使うことはないだろうとすっかり忘れていた。
「航空券は俺のと一緒に取るから、変更は済ませておいてくれ」
「……はい、分かりました」
「あと、ガラディナー用のドレスも必要だな。会場では写真も撮ることになると思う」
「しゃ、写真!?」
「別に緊張することはない。ちょっと規模の大きな懇親会みたいなものだ」
(それ本当ですか…!?)
何となく真澄の感覚は一般人と違うような気がして、そのまま鵜呑みにするのは危険な気がする。
「あの、わたしイヴニングドレスなんて持ってないんですけど…」
結婚式のお呼ばれ用のワンピースくらいならある。でもガラディナーとなれば、ドレスコードが厳しく設定されているに違いない。
「それなら今週末にでも見に行くか?」
「え…?」
「宿泊先のホテルもドレスショップが入ってるけど、事前に用意しておいたほうが安心だろ。俺が何度か使ったことのある店に予約を入れておくから」
何だかすごいスピードで話が決められていく。
「じゃあそういうことで、行ってくる」
「…い、いってらっしゃい…」
まるで仕事の段取りを伝えるように言い残すと、真澄は上着を手にして出勤していった。
「えっと…今のって、現実の話なんだよね?」
早く自分の出勤準備をしないと。
そう思いつつも、海外、学会発表、ガラディナーー…次々に飛び出す非日常に、澪は目が回りそうだった。
「国際学会だ。俺も発表がある。澪にも同伴してほしいから、予定を調整しておいてもらえると助かる」
「え、私も……!?」
思わず飲みかけていたコーヒーカップを傾けそうになり、慌てて持ち直す。
「あぁ、海外での学会では配偶者同伴が一般的だから」
入籍して真澄と夫婦になったけれど、澪が会社で騒がれた以外に大きな変化はなかった。真澄の職場の人に紹介されたわけでもなく、自分が『柊木真澄の妻』だと実感するのは家で彼と向かい合っているときくらい。
(私が妻として、この人の隣りに立つの…?)
華やかな会場で、大勢の人の目に触れながら――彼の妻として。何だか思考が追いつかない。
「パスポートは?」
「ありますけど、まだ氏名変更してません…」
大学の卒業旅行以来使っていなかったパスポート。しばらく使うことはないだろうとすっかり忘れていた。
「航空券は俺のと一緒に取るから、変更は済ませておいてくれ」
「……はい、分かりました」
「あと、ガラディナー用のドレスも必要だな。会場では写真も撮ることになると思う」
「しゃ、写真!?」
「別に緊張することはない。ちょっと規模の大きな懇親会みたいなものだ」
(それ本当ですか…!?)
何となく真澄の感覚は一般人と違うような気がして、そのまま鵜呑みにするのは危険な気がする。
「あの、わたしイヴニングドレスなんて持ってないんですけど…」
結婚式のお呼ばれ用のワンピースくらいならある。でもガラディナーとなれば、ドレスコードが厳しく設定されているに違いない。
「それなら今週末にでも見に行くか?」
「え…?」
「宿泊先のホテルもドレスショップが入ってるけど、事前に用意しておいたほうが安心だろ。俺が何度か使ったことのある店に予約を入れておくから」
何だかすごいスピードで話が決められていく。
「じゃあそういうことで、行ってくる」
「…い、いってらっしゃい…」
まるで仕事の段取りを伝えるように言い残すと、真澄は上着を手にして出勤していった。
「えっと…今のって、現実の話なんだよね?」
早く自分の出勤準備をしないと。
そう思いつつも、海外、学会発表、ガラディナーー…次々に飛び出す非日常に、澪は目が回りそうだった。