その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 ロイヤルブルー、シャンパンベージュ、グレイッシュラベンダー……澪は好みの色味を選びつつ、店員の勧めるデザインもいくつかピックアップした。

 「どれも素敵すぎて…どう選べばいいか悩みますね」
 「指輪のときと同じだ、気にいるのが見つかるまで試着してみればいい」

 その言葉に背中を押されて、まずは深いロイヤルブルーのドレスに袖を通す。胸元がハートカットの上にレースが重ねられた、身体に沿うマーメイドデザイン。背筋を伸ばすと、肩から腰にかけてのラインが自然と強調される。

 (すごい、私でもスタイルよく見えるかも)

 そんなことを思いながらカーテンを開けると、真澄の視線が止まって目を見開いた。
 完全に言葉を失っている。

 「……あの、やっぱり変ですか?」

 あまりにリアクションがなさすぎて不安になる。すると、真澄は一瞬だけ息を吸い込んでゆっくりと首を振った。

 「……いやその逆だ。似合いすぎて言葉が出なかった」
 「え……っ」
 「だが…少しラインが出すぎてる」
 「~~っ!?」

 完全に予想外の言葉に、澪は耳まで真っ赤になった。

 「それ、褒めてます……!?」
 「もちろん。けどあまりそういうのは、他人の目に晒したくない」

 ぽつりと漏れたその言葉は、ものすごい破壊力を持っていた。

 (……この人、なんでこういうのは迷いなく言えるの!?)

 澪はまともに言葉を返せないまま熱くなった頬を隠すように、大して乱れていない裾を必死に直すことしかできない。

 
< 54 / 127 >

この作品をシェア

pagetop