その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 「まずは、俺が正式な代理人として相手に通知を出す。今後は澪さんたちに直接連絡はできなくなるし、それをしたら相手側に不利になる」

 「それはすごく助かります」

 それだけでも、祖母への負担や心労は減らすことができる。

 「次に回答書を作成して送る。向こうの主張がどれだけ不当で、こちらが安定した生活基盤を持っているか、過去の親権や監護権に関する判例を元に法的根拠を固めていく」

 仁科の声は落ち着いていて、現実的で頼もしかった。

 それでも、まだ拭いきれない不安が胸の奥で渦巻く。
 すると、隣りに座る真澄が澪の手をぎゅっと握った。まるで安心させるように、強く。

 「もし必要なら俺も同席する」

 仁科が顔を上げる。

 「お前、表に出る気か?」
 「澪とその家族を守るためならそうするのが当然だろ」

 その言葉に、仁科はふっと笑ったあとちらっと仁科に視線を向けられる。

 「お前、めちゃくちゃ溺愛してんじゃん」

 その言葉に、澪は顔を赤くして俯くしかない。
 仁科はそんな澪を見守るように微笑んでから、小さく息をついて身体を伸ばした。

 「ま、法的な準備は大体見えたかな。あとはこっちに任せておいて」
 「本当に、ありがとうございます」
 「気にしないで、他でもない真澄の頼みだしね」

 書類をしまいながら軽くウィンクする仁科に、澪は気になっていたことを聞いてみる。

< 65 / 127 >

この作品をシェア

pagetop