その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 ファスナーが背中をなぞるようにゆっくりと降りて、二人で選んだドレスは緩やかに肩から滑り落ちていく。

 むき出しになった肩に、真澄が唇を落とす。
 それだけで、体の奥からぞくりと震えが走った。

 「……綺麗だな」

 ふとした瞬間に真澄がつぶやいたその言葉が、澪の心に火を灯す。目をそらそうとした澪の顎に指が触れ、ゆっくりと顔を上げさせられる。

 「…もう、俺のことだけ見てろ」

 唇が重なり、舌が触れ合う。
 深く、ゆっくりと、確かめるように重ねられる唇。

 熱を帯びたキスが、澪の思考をどんどん奪っていく。

 逃げられない――逃げたいわけじゃないけれど、それでも真澄から与えられる熱に当てられて、胸の奥が痺れる。

 「真澄さん……、んっ……」

 唇が離れた瞬間にそろりと目を開けると、すぐ目の前に真澄の顔があった。

 「顔赤いな、すごく色っぽい顔してる」
 「そ、そんなこと……っ」
 「可愛い、けど、こっちの理性が限界」

 澪の指先を口に含み、甘く噛む。
 
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