その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 薬指の指輪の輝きを確かめるように、真澄の指が手の甲をじっくりを撫でる。

 「や……っ、そんな……」
 「これでも感じる?」

 くすりと笑って、唇は肩から鎖骨、胸元へと辿る。

 指先が、優しく撫でるようでいて的確に快感を攫っていく。
 浅く、深く――焦らすように、そして逃さないように。

 「澪、言って、俺のものだって」

 指輪をはめた薬指を持ち上げて、口づけを落とす。

 「…真澄さんの、もの……」

 「いい子、もう一回」

 ご褒美とばかりに耳元から注がれる甘い囁き。
 耳朶にやわく噛みつかれると、澪は小さく声を漏らした。

 真澄のもの――と繰り返すたびに、脳がじんじんと痺れるような感覚に支配されていく。
 最初は恥ずかしくて、戸惑って、言葉を紡ぐのもやっとだったのに、今は煽られるたびに胸の奥が甘く痺れて、全身が熱くなっていく。

 真澄もまた、全身を覆う快感に眉をひそめて軽く息をついた。
 乱れた髪をかき上げて肩で息をしながら、それでも澪を見つめる目は優しい。

 「愛している、澪」

 奥を擦り上げるような熱が、甘くて、苦しくて、どうにかなりそうで。

 この人に、全部委ねてもいい。
 そう思ってしまうのが、怖いほどに幸せだった。

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