その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
食器を片づけた真澄が、ソファに置いていたジャケットを手に取る。
「俺は先に出るけど、澪はもう少しゆっくりしてろ」
シャツのボタンを留めながら、ネクタイを手にした真澄が、ふとこちらを振り返った。
「ネクタイ、してくれる?」
「……はい」
自然に答えて、立ち上がる。もう、すっかりいつものことになっていた。最初は、結び目が妙に曲がったり、きつすぎたり、ゆるすぎたり――自分でも情けなくなるくらい不格好で。
(でも、最近は……)
真澄の前に立ち、手元に視線を落としてスッとネクタイを通す。シャツの中心と結び目のバランスを確認しながら、指先の感覚だけで、すっと形を整えていく。キュッと最後に持ち上げて、軽く整えると、真澄がふっと口角を上げた。
「上手くなったな」
ネクタイの結び目を指で軽くトントン、と触れて整える真澄の指先が妙に優しくて――そのまま、頬も触れられそうで、思わず目を逸らしてしまう。
「動画で検索して、勉強したので」
「澪って、意外と負けず嫌いだよな」
「……もう!早く行ってください、遅刻しますよ!?」
澪が口をとがらせると、ふわっとした笑みを残して、真澄が一歩こちらへと近づく。
「っ――」
唇が、柔らかく重なる。
言葉も、息も、思考すらも止まった。ただ、心臓だけが――ものすごい勢いで跳ねていた。
「じゃあ、行ってくる」
何事もなかったように軽く手を振って、真澄は玄関へと向かっていく。
(……ちょ、ちょっと待って…えっ、なに、普通に今のキス……っ)
頬に残った温度が、じわじわと広がっていく。
甘くて優しい、この朝の空気が心地よくて、まだ夢の中みたいだった。
「俺は先に出るけど、澪はもう少しゆっくりしてろ」
シャツのボタンを留めながら、ネクタイを手にした真澄が、ふとこちらを振り返った。
「ネクタイ、してくれる?」
「……はい」
自然に答えて、立ち上がる。もう、すっかりいつものことになっていた。最初は、結び目が妙に曲がったり、きつすぎたり、ゆるすぎたり――自分でも情けなくなるくらい不格好で。
(でも、最近は……)
真澄の前に立ち、手元に視線を落としてスッとネクタイを通す。シャツの中心と結び目のバランスを確認しながら、指先の感覚だけで、すっと形を整えていく。キュッと最後に持ち上げて、軽く整えると、真澄がふっと口角を上げた。
「上手くなったな」
ネクタイの結び目を指で軽くトントン、と触れて整える真澄の指先が妙に優しくて――そのまま、頬も触れられそうで、思わず目を逸らしてしまう。
「動画で検索して、勉強したので」
「澪って、意外と負けず嫌いだよな」
「……もう!早く行ってください、遅刻しますよ!?」
澪が口をとがらせると、ふわっとした笑みを残して、真澄が一歩こちらへと近づく。
「っ――」
唇が、柔らかく重なる。
言葉も、息も、思考すらも止まった。ただ、心臓だけが――ものすごい勢いで跳ねていた。
「じゃあ、行ってくる」
何事もなかったように軽く手を振って、真澄は玄関へと向かっていく。
(……ちょ、ちょっと待って…えっ、なに、普通に今のキス……っ)
頬に残った温度が、じわじわと広がっていく。
甘くて優しい、この朝の空気が心地よくて、まだ夢の中みたいだった。