その天才外科医は甘すぎる~契約結婚のはずが溺愛されています
 クインシーマーケットに着くころには、澪のテンションはさらに上がっていた。

 「わあ、にぎやか……あっ、あれクラムチャウダーですか? ボストンっていえばそれですよね!」

 目を輝かせながら言う彼女を見て、真澄はふっと笑った。

 「クラムチャウダーもいいけど、ロブスタービスクも美味しいぞ。たぶん好きな味だと思う」
 「え、迷いますね。両方頼んじゃおうかなぁ」
 
 頬を染めながらそう言って受け取った澪が、ひと口食べて、目を丸くする。

 「……美味しいっ……!」

 その反応を見て、真澄は目を細めた。

 (思った通り味にも感情が出やすい)

 だからこそ――予想が当たったときの反応が、たまらなく可愛い。気づけば、こんなふうに彼女の反応を見たいと願っている自分がいる。

 それでも、言葉にはしないまま。ただ、彼女の笑顔が続くなら――この静かな時間を、あと少しだけ延ばしていたいと思った。

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