(番外編集)それは麻薬のような愛だった
確かに一緒に居ると楽しそうではあるし、いつも穏やかに笑っていた。
けれどその目は自分を通して、他の誰かを見ているような感覚を感じていた。
きっとそれは雫自身も気付いていないのだろう。だから颯人自身も見て見ぬふりを続けていたし、実際他の男の影を感じるとかそういった事だって一切なかった。
それがまさかこうした形で影響を及ぼすなど、誰が想像しただろう。
「なんでそうなったか、原因は分かってるのか?」
雫は真っ直ぐに颯人を見ていた。
どれほど冷たい目で見据えようが、涙さえ浮かばないその瞳から見える決意は揺らぐ事はなかった。
「…分からない」
雫はそう言ったが、嘘なのは明白だった。
「なら別に別れなくても、一緒に解決していく方法もあるだろ」
「治るかどうかも分からないのに、そんな事に付き合わせられないよ」
「それに付き合うだけの覚悟はあるつもりだけど」
「…颯人…」
「それとも、他に理由あるの?」
再び黙り込む雫は、絶対に口を割らないであろう気配がありありと伝わってきた。
それが雫の隠している過去であろう事は察しがついた。そこに、自分の知らない男が関わっているであろうことも。