(番外編集)それは麻薬のような愛だった
「…雫、」
「なあに?」
雫は伊澄を、伊澄は雫を見つめる。
鋭ささえあった美しい切れ長の瞳には、今は唯一、雫への深い愛情だけが映し出されていた。
「そばに居てくれて、ありがとう。…それから、」
一瞬だけ止まる足。
同じように雫が足を止めると、耳元に甘い囁きが落ちた。
「すげー愛してる」
「?おとうさん、おかあさんどうしたの?」
少し離れた位置まで歩いてしまった紬が、両親が着いてきていない事に気づき足を止めて振り返る。
そして父に手を引かれ俯いたまま後ろを歩く母を見て不思議そうに声をかけた。
「雫が可愛いから口説いてた」
「?くどいてたってなあに?」
不思議そうに首を傾げる紬に、伊澄は笑顔を向けた。
「大好きってことだよ」
その言葉にそうなんだ!と声を上げた紬は、「じゃあわたしも〜!」と、父親とよく似た麗しい顔立ちで輝かんばかりに笑った。
「つーも、おかあさん大好き!」