(番外編集)それは麻薬のような愛だった


雫の誕生日を祝い、夜の誘いを持ちかけて雫はそれを受け入れた。そう、思っていた。

けれどいざそういった雰囲気になった途端、雫は顔色をみるみる青くしトイレへと駆け込んだ。

ドア越しに聞こえる、何度も嘔吐を繰り返す声。

その時は心配のあまりパニックになり、食中毒を疑いすぐに救急車を呼んだ。点滴を受けながら涙の跡が残る顔を見た時も、酷い吐き気に苦しんだのだなと、単純に考えていた。


けれどその数日後、颯人は突然雫から別れを切り出された。


「本当に、ごめんなさい」


何度も何度も謝る雫の言葉を颯人は理解出来なかった。


「…俺、何か気に触ることした?」


かなり時間をかけて頭を整理して発した言葉ですら、雫は否定した。


「颯人は何も悪くない。…けど、これ以上付き合えない」

「なんで?」

「……」


問い詰めれば黙り込む雫。責め立てるような雰囲気になったが、納得ができる訳が無かった。

俯く顔色は良いとは言えず、あれからも何度も嘔吐を繰り返しているであろうことは予想がついた。

現に数日見ないだけでも、雫の体はやつれているように見えた。

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