【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 コリンナが視線を下から上、上から下へと動かして、そのままそこで止め、ふと笑みを浮かべる。
「着替えましょう。私のドレスを貸してあげるわ。動きやすいドレスがいいわね。そうね、色は……ラベンダー色のものがあったでしょう? それにしましょう」
 コリンナのてきぱきとした指示に、シアは別室へと連れていかれた。
「せっかく王太子殿下の通訳として同行するんだもの。それなりの装いをしなくちゃ」
 やはり、それなりに見目が求められるのだろう。子どもたち相手とは違うのだ。
 他人に着替えを手伝われることに慣れないシアだったが、時間がない今は文句を言っている場合ではない。
 ズボンを脱がされ、代わりにラベンダー色の簡素なドレスを着せられた。短い髪もサイドを編み込まれ、普段とはまるで別人のような姿に仕上げられていく
「やっぱりシア。似合ってる。普段から、こういう格好をすればいいのに」
 コリンナがうっとりとした視線を送ってきた。ことあるごとにシアを着飾らせたいと思っていた彼女だから、ここぞとばかりに気合いを入れてきたのだ。
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