野いちご源氏物語 二〇 朝顔(あさがお)
源氏(げんじ)(きみ)は、二条(にじょう)(いん)朝顔(あさがお)姫君(ひめぎみ)女房(にょうぼう)をお呼びになった。
さすがに(むらさき)(うえ)のいらっしゃる離れではなく、ご自分のお部屋の方にお呼びになる。

姫君を恋人にしたいとご相談なさるけれど、女房はそれは難しいだろうとお答えする。
「姫君は賀茂(かも)神社(じんじゃ)斎院(さいいん)におなりになる前から、源氏の君とのご結婚に前向きではいらっしゃいませんでした。それから八年間も斎院のお(つと)めをなさって、お年もお召しになりましたから、もう今ではご結婚などまったくお考えではないようでございます。季節ごとのお手紙に無難なお返事を差し上げることさえ、世間から悪く言われるのではないかと気にしておられまして」
源氏の君は姫君のそういう生真面目(きまじめ)なところを、好ましくも(ねた)ましくもお思いになる。
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