(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「おい、祐一郎。ちょっとちょっと」

退勤する俺を待ち伏せていたのか、小児科の医局の廊下に大翔がいた。

「なんだ、大翔も帰りか?」

「そう。ビッグニュースがあって待ってたんだ。俺さ、実は茉祐子の親父に会ったんだよ! で、調べてみたらすごい外科医だった!」

あー・・。
そういえば、ホテルの彼女の部屋の前で大翔と『あの男』が口論していたんだった。

俺が目撃した後に、神崎先生の素性を知ったんだろう。

「心臓外科が専門の神崎先生。大翔、彼女の部屋の前で神崎先生とモメてなかったか?」

「えっ、どうしてそれを・・・・」

「彼女に会いに部屋の近くまで行ったら、大翔と神崎先生がモメてた。でも、彼女がちょうどエレベーターから出てきたから、そのままメシ行ったんだよ。彼女、大翔たちには気づいてなかったけどね」

「うわ、良かった。親父とモメてるなんて茉祐子に知られたら、面倒なことになったかもしれないし」

とはいえ、俺もその時はまだ『あの男』の素性を知らなかったな。
神崎先生であり、彼女の父親だと。

「そうだ大翔。大翔に聞いた彼女の噂話、事実と結構違ってたぞ。いったい誰に吹き込まれたんだよ。特にほら『かなり飲んで酔った時に、一度だけ・・』ってやつ・・」

「あ・・。あーーー、ごめん。でもさ、茉祐子もちゃんと言わないからだよ。事の真相って何だった?」

「それは俺の口からは言えないよ。今度彼女に会った時に直接聞いてみるんだな。自分の勘違いに、恥ずかしくて落ち込むぞ~。じゃ、行くところがあるから、またな」

俺はこの後、指輪を受け取りに行くことにしていた。
昨日届いたと、改めて連絡も入っていたから。

「祐一郎」

珍しく真面目な顔で、大翔が俺を呼んだ。



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