(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「西島、悪いがもう少し残れるか? 深夜に備えて、仮眠をとっておこうかと」

戻ってきた高浜教授がそう言った。
この赤ちゃんを深夜帯に診てくれる医師が足りず、自ら対応しようとしているのだ。

「もちろん残りますし、もし良ければ逆に深夜帯は私が診ましょうか? 高浜教授、明日も日中の講義ありますよね」

高浜教授と交代で、しばらく容態を見守ることになるだろうと想定していたし、俺が深夜帯を担当すれば高浜教授の負担はだいぶ減る。

「いいのか? 西島がいてくれるなら俺も安心だ。
じゃあ、22時半に交代しよう。22時過ぎから申し送りするから、それまで少しでも寝てくれ」

「はい。急変時には呼んでください。一緒に診ますから」

「わかった」

カルテの入力を済ませた後、俺は大学病院内のコンビニで飲み物を買い、通話可能エリアに立ち寄った。
スマートフォンを起動して、彼女の連絡先を表示する。

「もしもし」

『祐一郎? お疲れさま』

彼女の声を聞き、一気に緊張がほぐれる。

「・・茉祐、ごめん。今夜帰れない」

『そっか。いまも高浜教授のところ?』

「うん・・。明日の朝まで、教授と交代で赤ちゃんの容態を見守ることにしたよ。日勤のドクターが出勤してきたら引き継ぎして帰るつもり」

『うん。ところで、晩ご飯は? 何か食べれた?』

「いや、ちょっと余裕が無くてまだなんだけど、これからすぐ仮眠して深夜帯を診るんだ。起きた後に何か食べるよ」

『そうなのね。長く話してると仮眠の時間が短くなっちゃうから、もう切るね。おやすみなさい、祐一郎』

電話が切れた後、俺は深く息を吐いた。



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