(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
高浜教授の研究室にある仮眠スペースで、横になった俺は複雑な気持ちを抱えていた。

もしかしたら今頃、プロポーズしていたのかもしれない。
指輪を渡して、彼女も受け取ってくれて・・。

言葉は用意できていなかったものの、その場の流れとか、彼女との会話の中で伝えられることがあったはずだし。

でも、俺は機会を逃した。

「茉祐と結婚できないかもな・・」

不安がふっと口に出た。

彼女の気持ちが変わるかもしれない。
彼女をいいと思う別の男が現れるかもしれない。

そうしたら、俺は・・。

だとしても。
そうだとしても。

俺は医師として、今夜の自分の選択を後悔してはいない。
彼女よりも、仕事を優先した。

きっとこれからも、同じような状況になれば俺は仕事を優先するのだと思う。

そんな俺を、彼女はどう思うだろう。
理解できないと言うだろうか。

プロポーズはともかく、今夜だってふたりで過ごすのを楽しみにしてくれていたのに・・。

考え出すと止まらなくなる。
もう、やめよう。

今の俺がすべきことは、きちんと仮眠をとって朝まで赤ちゃんを診ることだ。

彼女とのことは、これが終わってからもう一度しっかり考える。
中途半端なままにするのが一番よくない。

自分の中で気持ちを整理し、俺は目を閉じる。

日勤から引き続いての急患対応だったから、それなりの疲労もあってすぐに眠りに落ちた。



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