(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
彼女は何と言うだろう。
おそらく、全然気にしていないと言うだろうけど、その後に続く言葉に本音が隠れていると思った。

「パーティーはいつでもできるから、赤ちゃんを朝まで見守ってあげて。高浜教授と祐一郎に診てもらえたら、本当に心強いよね。私も───」

そこまで言って、彼女は慌てて言葉を切る。

「ん? 私も、何?」

問いかけると、彼女は真っ赤になった。

「えっ、何? どうした?」

「あ、えっと・・。あのね、私も子供が病気になったら、ふたりに診てもらいたいって言おうとしたんだけど・・。それって、つまり・・」

「あー・・うん。『俺たちの子供』は、俺が責任持って診る。任せてよ」

「うん、お願いね」

そうか、彼女の視点はそこにあるんだ。
俺が彼女よりも仕事を優先した、ということより、家族がどんな病気になってもちゃんと診てもらえる・・。
そこが重要なんだな。

お母さんの病気の経験が、彼女にそう思わせているのかもしれない。

しかし・・。
俺たちの子供・・か。

そんな未来も、これからふたりで作れるんだ。

「ね、祐一郎。そろそろ時間じゃない?」

「そうだね。一緒に出よう」

彼女を、夜間通用口のタクシー乗り場まで連れていく。

「茉祐、来てくれてありがとう。じゃあ、また明日の朝ね。戸締りちゃんとして」

「うん、待ってる。朝まで頑張って」

乗り込んだタクシーの窓から手を振る彼女を見送り、俺は病棟に戻った。



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