(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
俺たちは区役所の窓口に婚姻届を提出し、ついに夫婦になった。

まずは神崎先生に電話する。
ロンドンは、朝6時をまわったところだ。

『茉祐子か、朝早くからどうした?』

「うん、婚姻届を出してきたの。祐一郎と結婚した報告をしようと思って電話しました」

『そうか、おめでとう。西島くんは近くにいるのか?』

「神崎先生、朝から申し訳ありません。まずは神崎先生にご報告がしたくて」

スピーカー状態で話をしていたから、俺はすぐに返事をする。
神崎先生、と呼んでみたものの『お義父さん』と呼ぶべきだったか・・?

『ありがとう。これからは義理とはいえ親子だ。何かあればいつでも頼ってほしい。力になれることも、あるだろうから』

「お父さん、ありがとう」

『西島くんのご両親にもよろしく伝えてください。ご挨拶にも行けず、不義理をして申し訳ないと』

「はい、伝えます。また連絡します・・お義父さん」

電話の向こうで言葉が途切れる。
まだ、時期尚早だっただろうか。

『・・待っているよ、祐一郎くん。茉祐子も元気で』

神崎先生と俺の会話を聞き、彼女が涙を浮かべている。

「お父さんがママを想って、ずっとひとりでいたのを霊園で聞いたの。私も寂しかったけれど、お父さんも寂しかったんだと思う。
祐一郎が家族になってくれて、お父さんも嬉しいんじゃないかな」

彼女はそう言ったけれど、俺は誰よりもお義母さんが喜んでいるだろうと思い、静かに空を見上げた。





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