(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
集中管理センターの奥にあるスタッフ用の休憩室で、大翔と俺はコーヒーを飲んだ。

「祐一郎、大学病院はどうだ? 難しい症例が多くて大変なんじゃないか?」

「そうだな・・、日々勉強だよ。でもさっきみたいに、ここでなら設備も整っていて助けられるとなれば、やりがいもあるさ」

「そうか。俺としても、祐一郎が大学病院にいてくれるのは心強いんだ。ここに来れば、なんとかできるかもしれないって思えてさ」

「大翔がそう考えてくれてるのは嬉しいな。期待に応えられるように頑張るよ」

大翔はカップに残ったコーヒーをグイッと飲み干し、立ち上がった。
総合病院に戻るのだろう。

「そろそろ帰るよ。あの子を、しばらく頼むな」

「ああ、任せてくれ。後で診断書送るよ」

じゃあ、と大翔は休憩室を出ていく。
その後ろ姿に俺も手を振った。

研究室に戻ると、講義を終えた高浜教授も帰ってきていたから、大まかな状態を報告する。

「意識も神経反応も問題ありませんでした。ただ挫滅の範囲が広いので、完治までには時間がかかりそうですが・・」

「確かにな。精神的なケアの方が長くなりそうだが、その点は西島なら心配ないな」

「高浜教授にそう言っていただけると・・。普段通り、まめに見に行きますよ」


大学病院に移ってから、半年が過ぎた。
何ができるのかと不安を覚えたこともあったけれど、向き合うものは基本的に変わらない。

俺は変わらず、病気と、患者である子供と、それを取り巻く大人たちに日々向き合っている。



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