(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「ただいまー」

玄関からリビングに移動すると、明かりはついているものの反応が無い。

もしかしたら・・。

ソファに回り込むと、俺の予想通り彼女が眠っていた。

「茉祐、寒くない? ブランケット持ってこようか?」

「あ・・お帰りなさい。そろそろ帰ってくる時間かと思ってたのに、寝ちゃったのね」

「寝てていいよ。茉祐も疲れてるだろ」

「後で祐一郎と一緒に寝るから大丈夫。お腹すいてない? ご飯あるよ」

確かに、俺の好きなビーフシチューの匂いがする。
認識したら、急に食べたくなった。

「うん、食べようかな。バケット、俺が焼くよ」

「ありがとう。ビーフシチュー温めるね」

俺がトースターでパンを焼きつつポットでお湯も沸かして、食後のお茶を準備する。

お互いに仕事をしているから、家事はなるべく一緒に済ませ、ひとりの時は休養を優先して家事は後回し。

そんな決め事がありつつも、今夜のように食事はほとんど彼女が準備してくれる。
だから俺はそのお礼も兼ねて、彼女の好きなデザートの店をいくつも開拓した。

今日も帰りがけに寄った店でバスクチーズケーキを買い、冷蔵庫にしまってある。
彼女の喜ぶ顔を見るのが、すごく楽しみだ。


ブブ・・ブブ・・ブブ。

もうすぐデザートというタイミングで、テーブルに伏せて置いてあったスマートフォンが振動する。

裏返すと『夜間管理センター』の表示。
これは、集中管理センターの夜間専用番号からの連絡だ。

「はい、小児専門医の西島です」

『こちら、集中管理センターです。高浜教授と西島先生宛てに対応の要請がありました。可能でしょうか?』

「すぐに行きます。15分後に到着見込みで」

『お待ちしております。詳細は後ほどお伝えしますので』

電話を切ると、俺がいつも持ち歩いているボディバッグとウインドブレーカーがダイニングテーブルに用意されていた。



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