(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
飲みすぎたわけではないものの、やはりすっきりしない頭を抱えて、翌朝も普段通りナースステーションに入った。

「西島先生、昨日入院の田中りさちゃんですが・・・・」

担当患者の様子を看護師と一緒に確認し、いくつか指示を出してから外来の診察室に向かう。
診療予約を見ると、今日は空きが無いほどに午前の予約が詰まっていた。

助かった・・。
不謹慎かもしれないけれど、忙しければ余計なことを考えずに済むからだ。

休みなく午前の診察を終え、俺は救急外来の裏手にある中庭のベンチに向かう。
特に時間と場所の約束をしていないものの、大翔と雑談をする時はここが指定席のようになっていたから。

それにしても・・だ。

昨日大翔に話がしたいと伝えた時には、これほど深刻になるとは思っていなかった。
まさか、彼女の家から男が・・・・。

「あーーー・・・・」

「どうした祐一郎、そんな地を這うような声出して。外来、忙しかったのか?」

大翔が笑いながらベンチに座る。

「いや・・予約はかなり入ってたけど、割と時間通りに進んだ。そうじゃなくて、大翔・・・・俺・・」

気持ちが整理できていないこともあり、何からどう話せばいいかわからずにいた。
彼女と付き合っていることも、まだ大翔には話していなかったし。

「祐一郎、茉祐子のことだろ?」

そう言って、大翔は俺の肩をポンと叩いた。

「気づいてたのか? いつから?」

「いつから、っていうか、最初からいい雰囲気だとは思ってた。だから茉祐子を送ってもらったんだ。祐一郎なら信頼できるしさ」

そう・・だったのか。



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