(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「茉祐・・?」

「一緒に、いて・・ほしい・・」

消えそうなくらい小さな声で彼女にそう言われて、体温計は諦める。
一緒に寝室に行って彼女をベッドに入れ、再度手を握った。

5分もそうしていただろうか。
彼女の瞼がスーッとおりていく。

ゆっくりと手を離し、首筋に手をあてる。
確かに熱いな。

俺は冷凍庫に氷があるのを確かめてから、バスルームにあるフェイスタオルの予備を持ち出した。

氷水で絞ったタオルを、そっと彼女の額に乗せる。
冷たさに驚いたのか、ビクッと身体が反応し彼女が目を開けた。

「ごめん茉祐、冷たすぎたか・・」

「ううん・・大丈夫」

彼女の瞳から、スーッと涙がこぼれ落ちる。
どうした・・?

「茉祐、辛い? 救急外来に電話して、病院行くか?」

彼女は首を横に振る。
でも、涙が止まる気配がない。

俺はゆっくり彼女を抱き起こして、苦しくないようにそっと抱きしめる。

「茉祐。俺、今夜ここにいるよ、ずっと。茉祐のそばにいる」

そう伝えると、彼女が驚いたように俺を見上げる。

「ほんとう・・に?」

「うん。いてもいい?」

念押しすると、小さく頷いて俺の胸に顔をうずめた。
涙が止まる様子はなく、ずっと肩が震えている

「横になる? そっちの方が楽なら・・」

「もう少し・・もう少し・・このまま・・」

「茉祐が辛くないなら、このままでいようか」

俺は少しだけ、抱きしめる腕に力を込めた。



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