(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「んっ・・」

目を開けると、いつもと違う景色が現れる。
あれ・・?

「祐一郎」

その声にハッとして横を向くと、彼女が俺を見て微笑んでいた。

「あ・・。茉祐、具合どう?
でも・・ごめん。俺が一緒だったから、狭くてゆっくり寝られなかったよね。本当にごめん、俺、酔いが回ってそのまま・・。ちゃんと看病するつもりで・・」

まくしたてる俺に、彼女がモゾモゾと近づいてきて、ちゅ、ちゅ、と顔のあちこちに口づける。

「ん・・っ、茉祐?」

「もう大丈夫。熱も下がってる、ほら見て」

目の前に差し出された体温計は、36.7の表示。

「でもほら、熱はともかく、他は? 頭は? 風邪っぽいとか、痛むところとか無い?」

「ふふっ、そんなに心配しなくても大丈夫だってば」

「でも・・んんっ」

心配の止まらない俺を、彼女の唇が塞ぐ。
そういえば今朝はやけに触れてくるけれど、どうしたんだろうか。

「祐一郎、今日はお休みなんでしょう?」

「うん。そう」

「もし予定が無いのなら、今日はずっと一緒にいようよ。何か・・したいことある?」

「特別な予定は無かったな・・。何か、したいこと・・か」

差し当たってしたいことといえば。
寝起きからキスの雨を浴びて、少し昂っていた。

「茉祐が欲しい・・な」

浮かんだ欲望をストレートに伝えると、彼女が真っ赤になる。

「いや、でも、熱が下がったばかりなのに、何を言ってるんだって感じだよね。ごめん」

そう言った俺の耳元に近づいて、彼女が驚きのひと言を口にする。

『一緒に・・シャワー浴びる?』と。



< 57 / 120 >

この作品をシェア

pagetop