(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
ブブブブ・・ブブブブ・・。
設定した時間にアラームが振動する。

ん・・5時半か・・。

「茉祐・・朝だぞ・・。起きれるか?」

隣で眠っている彼女の肩を少し揺らした。

「んー・・」

支度をするためにベッドを出ようとした俺の腕を、彼女がそっとつかむ。

「どうした? まだ眠いなら、出る時もう一度起こそうか?」

「ううん・・大丈夫、ありがとう。あと・・夜も、ありがとう」

ポンポンと彼女の頭を撫でる。
朝から、可愛い。

「祐一郎、今朝はどうして早いの? 手術?」

「いや、高浜教授に迎えを頼まれててさ。朝早く羽田に着く国際線だって」

「そうなんだ。出張されてたの?」

「そう。古い付き合いのドクターと一緒らしいから、美味い朝飯に連れて行ってくれって」

ふふ、と笑って、彼女はコーヒーメーカーに水をセットした。

「じゃあコーヒーくらい飲んでいく? 眠気覚ましに私も飲むから、淹れるね」

「うん、ありがとう。ところで、茉祐の翻訳は結構ギリギリ? 間に合いそう?」

「うーん・・。多分、平気だと思う」

いつも目いっぱい時間を使って準備しているのを、俺は何度も見てきた。
納得するまで向き合うのは、彼女の性分なのだ。

「茉祐なら大丈夫だ。いつも見ている俺が言うんだから、絶対」

支度を済ませた俺は、彼女にそう伝えてグイッとコーヒーを飲み干す。

「じゃあ、行ってくる」

「うん。気を付けてね」

額にチュッと口づけて、俺は家を出る。
彼女はまだ眠そうだったけれど、昨晩の重苦しそうな表情は和らいでいてホッとした。





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