(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
水曜の夜は当直だったから、彼女を家で見送る予定だった。
でも大翔とのことが気になり、俺は彼女をホテルまで送っていくことにした。

「えー、そんないいよ。当直の前なんだから寝てていいのに」

「茉祐〜、俺に送ってもらうの嬉しくないの?」

「もちろん嬉しいけど、なんだか申し訳ないんだもの・・」

彼女がどこのホテルのどんな部屋に泊まるのか、確かめておきたかった。
何かあった時、すぐ行けるように。

何か・・。
何かって、何だよ。

これまでなら、もし彼女の身体に何かあったら心配で・・というのがそれだった。

でも、今の俺はそうじゃない。
もし他の男が彼女と・・だ。

あーもう、本当に嫉妬深くて心が狭い。
自分のことが嫌になりつつも、そうせずにいられなかった。

2泊3日・・せいぜい丸2日くらいなのに、それも同じ都内にいるのに、なんだか手の届かないところにいる気がして不安だった。

「祐一郎、準備できたよ」

仕事部屋からリビングに戻ってきた彼女を、思わずぎゅっと抱きしめた。

「・・祐一郎? どうしたの?」

「茉祐と離れるの、寂しいなと思って」

「うん・・私もすごく寂しい」

こういう時『そんなことないでしょ』とか『たった2日なのに』なんて言わずに、『私も寂しい』と言ってくれる彼女が俺は好きだ。

「茉祐が帰ってきたら、1泊で温泉でも行く? 頑張ったご褒美に」

「本当? でも、祐一郎のお休みが・・」

「1日くらいなんとかする。だから行こうよ」

そう言った俺に、彼女が背伸びしてちゅっとキスしてきた。
それに反応した俺は、その何倍も深くて熱いキスを彼女に返した。



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