婚約者を寝取った妹と浮気した婚約者に命懸けの復讐をしようと思います〜その後待っていたのは溺愛でした〜
大丈夫、どちらにせよもう覚悟はできている。
殺されかけたあの時、目が覚めたわ。
「どちらが正しいのかはっきりさせましょう」
表情ひとつ変えずに、妹へと声をかける。
「えぇそうね、どちらが本物の聖女であるかはっきりさせましょう、ねえ?お姉様。うふふ、あー、ウザッ!」
誰にも聞こえないくらいの声で悪態をつく妹に、せめてもの慈悲を与えるべきか悩む。
「イリナ、今ならまだ止めることもできるわよ。本当にこの儀式を行うのね?後悔しない?」
「はぁ?」
思わず声を荒げたイリナへ後方で着席している者の視線が集まる。
泣いて謝ってくると思っていた私が、儀式を行うことに同意したのがそんなに気に入らなかった?
「止めるだなんて、まさか私がお姉様に同情するとでも思ったの?絶対に止めないわ!私は聖女なんだから!分かってないお姉様が可哀想だと思ったのに、お姉様って本当に馬鹿だったのね?この儀式を行うと……うふふ、まぁ、もういいわねそんなこと。邪魔者が消えてくれるのだもの。お姉様が自殺願望があるだなんて知らなかったわ。そんなに彼のことが好きだったの? 彼が言っていたわ、ふふ、お姉様みたいな骨と皮しかない女には欲情しないんですって。骸骨みたいね、さよなら、お姉様。ふふふ~ん♪」
引き返す最後のチャンスだったのに……。
どうやら刺激してしまったようね。
イリナは私を追い払うように祭壇の前へと軽やかな足取りで進んでいた。
「では、これより聖女の儀式を行う!」
祭壇の中央にいるのは私の婚約者であり、この国の王太子レオナルド殿下。
レオナルド殿下の髪色を思わせるような金糸が、イリナのドレスの刺繍に使われている。優しげな眼差しを向けるその先には、イリナがいる。そんな表情もできるのね。
嘘つき!嘘つき!嘘つき!