過保護な医者に心ごと救われて 〜夜を彷徨った私の鼓動が、あなたで満ちていく〜
岸本が静かに退室したあと、病室には再び静けさが戻った。

雪乃はベッドに身を預けながら、ふぅっと小さく息をついた。

どこか緊張していたのだと、今さらながら気づく。

言えないことはあったけれど、それでも専門の人に話を聞いてもらえたことは、思いのほか心強かった。

しばらくすると、再びノックの音がして、今度は担当看護師の遠藤が顔をのぞかせた。

「大原さん、こんにちは。さっき、ソーシャルワーカーの方いらしてましたよね。どうでしたか?」

雪乃は、小さく笑って頷いた。

「……はい。保険証のこととか、お金のこととか……。相談に乗ってくれそうで、安心しました」

遠藤もほっとしたように表情を緩めた。

「それはよかったです。岸本さん、すごく丁寧に話を聞いてくださる方ですからね」

そう言いながら、遠藤はベッドの足元のモニターを軽く確認し、メモを取った。

「あと、さっき神崎先生から連絡があって、今日の午後から抗生剤の点滴を始める予定だそうです。なので、それまでしっかり体を休めておいてくださいね」

「……はい、ありがとうございます」

「何かあったら、すぐナースコール押してくださいね。遠慮しないで」

優しくそう言って、遠藤はまた静かにドアを閉めた。

扉の向こうが静かになってから、雪乃は天井を見つめる。

不安は、完全に消えたわけじゃない。

けれど確かに今、自分の周りには、助けようとしてくれる人がいて――
そう思えるだけで、少しだけ、心が温かくなるのだった。
< 95 / 228 >

この作品をシェア

pagetop