主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
第二章
数日後、私はパクシーに連れられ、王宮の一室に通される。
その部屋は、普段の居室よりも張り詰めた空気が漂っていた。
部屋の中の大きな鏡の前に、深い黒と紺を基調にした礼装が用意されていた。
全体に光沢を抑えたシルク地。肩と胸元には家紋が控えめに刺繍され、腰には紫の細いリボンが一重に結ばれている。
ーー葬儀用の、王家の喪服だった。
「……これを私が、着るんですか?」
私の問いに、パクシーは静かに頷いた。
「はい。ご葬儀に先立ち、正装の所作をお習いになるよう陛下より仰せつかっております」
喉の奥が詰まるような気がした。
これはお母様のための服だ。
ただ着飾るためのドレスではない。
この国で、王家の一員として喪に服す。その立場と覚悟を示す衣装。
(こんなに重いんだ……喪服って)
パクシーの手を借りて着替えると、空気が変わった気がした。
鏡の中に映るのは、まだあどけなさが残る少女ではなく、哀しみと責任を纏った「誰か」だった。
そこへ、扉がノックもなく静かに開き、叔父様が現れた。
彼の瞳もどこか沈み、けれど確かに温かかった。
「……似合っているよ、ラティ」
「ありがとうございます。でも……私には、似合わない気がして」
「それは、“王族として喪に服す”ことが、どれほど重いか分かっているからだろう。ならば、胸を張れ。お前は、正しくその重さを受け止めている」
その部屋は、普段の居室よりも張り詰めた空気が漂っていた。
部屋の中の大きな鏡の前に、深い黒と紺を基調にした礼装が用意されていた。
全体に光沢を抑えたシルク地。肩と胸元には家紋が控えめに刺繍され、腰には紫の細いリボンが一重に結ばれている。
ーー葬儀用の、王家の喪服だった。
「……これを私が、着るんですか?」
私の問いに、パクシーは静かに頷いた。
「はい。ご葬儀に先立ち、正装の所作をお習いになるよう陛下より仰せつかっております」
喉の奥が詰まるような気がした。
これはお母様のための服だ。
ただ着飾るためのドレスではない。
この国で、王家の一員として喪に服す。その立場と覚悟を示す衣装。
(こんなに重いんだ……喪服って)
パクシーの手を借りて着替えると、空気が変わった気がした。
鏡の中に映るのは、まだあどけなさが残る少女ではなく、哀しみと責任を纏った「誰か」だった。
そこへ、扉がノックもなく静かに開き、叔父様が現れた。
彼の瞳もどこか沈み、けれど確かに温かかった。
「……似合っているよ、ラティ」
「ありがとうございます。でも……私には、似合わない気がして」
「それは、“王族として喪に服す”ことが、どれほど重いか分かっているからだろう。ならば、胸を張れ。お前は、正しくその重さを受け止めている」