主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
***

ユーリの声が、静かな廃強会の空気を震わせた。
けれどその声音は、どこか――ほんの少しだけ、寂しそうだった。

「……違ぇんだよな。今の俺じゃ、本来の“俺”には敵わねぇ」

その呟きが、私の胸に引っかかる。

彼は、余裕を装っている。
いつもどこか軽薄で、真意を測らせない彼が。
けれど今の彼は、そんな仮面の下に、本当の顔を隠しきれていなかった。

私は、本来の彼を知らない。
理想の王子様のようだったという話は聞いている。
けれど――目の前にいる彼は、それとは違う。

だけど、それでも。

「……私は、本来の貴方を知らないんです。だから、比べようがない」

そう、静かに答えた。

「でも、今の貴方は……ちゃんと痛みに目を背けないで、向き合ってくれている。運命に立ち向かっている。少なくとも、私はそう見えます」

彼はわずかに目を見開いた。
ほんの一瞬の驚き。それが、何だか少し嬉しかった。

「本来の貴方が、どれほど立派だったとしても……」

私は小さく息を吸って、言葉を選ぶ。
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