四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】
「……答える必要、ないですよね。迎えに来た人物を分かっている時点で」

颯真は、服のポケットから扇子型の補助具を取り出す。

「彼を離してください。僕は、あなた方と戦う気はありません。彼の友人にあたる人物から迎えに行くように言われただけですから」

(……まぁ、答え次第では術を使うけどね)

「断る。逃げられたら困るからね」

(……困る?どういうことだ?)

「……そうですか。なら、力ずくで返してもらいますよ」

颯真は、そう言いながら補助具である扇子を開いた。颯真の様子を見て、朱雀は珍しいな、と思う。

「颯真の名において、我が主を守れ」

颯真が詠唱をすると朱雀の周りに結界が張られ、バシン、と大きな音がして、朱雀を掴んでいたギルベルトの手は何かの力により跳ね除けられた。

(……守護用の結界……)

颯真が朱雀の周りに張ったのは、術の使用者と対象者のみが結界の中に入れる結界で、他の人が入ろうとすると、結界の力により弾かれる。

颯真は結界の中に入り、朱雀と向き合った。

「……凄い瘴気の量ですね……」

颯真の言葉に、朱雀は苦笑する。

「皆さん、帰りを待ってます。帰りましょうか」

颯真が朱雀に向かって優しく微笑むと、朱雀は「もちろん」と微笑んだ。
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