四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】
颯真がいろいろと考えていると、近くから「そこにいるのは、誰だ?」と声がし、颯真は声がした方を見る。

颯真に声をかけたのはツヤで、颯真はツヤの姿を見て驚いた様子を見せた。

(……鬼……?鬼って、本当に存在するんだな……)

ツヤの放つ威圧に、颯真は思わず後退りをする。

「何をしに来た?」

「……む、かえに……」

ツヤの威圧に恐怖感を覚えながら、颯真は何とか声を出した。

「……迎え?誰の?……もしかして、あいつか?」

ツヤは、颯真を睨む。ツヤの鋭い視線を受けて、颯真はビクリと身体を震わせた。

「こら、ツヤ。駄目だよ」

いつの間にかツヤの近くにいたギルベルトが、ツヤに声をかける。

「……ギルベルト……」

ツヤは威圧感を放つのを止め、ため息を吐き出した。

「……ところで、君は……こいつの仲間なのかい?迎えに来たというのは、彼のことだろう?」

颯真の視界に、ギルベルトに捕まった状態の朱雀の姿が見える。

「……えっ……」

(……朱雀さまが、人間に捕まって……?というか、朱雀さまや僕の姿が見えるんだ……不思議な人たちだ)

「…………僕の質問に答えてくれないかな?」

柔らかく微笑むギルベルトの目には敵意が宿っており、颯真を敵と認識しているのだと朱雀は悟った。

ふと、颯真は朱雀の表情に目が行く。朱雀は、怪異にしか向けない鋭い目をギルベルトに向けており、そのことから、颯真は朱雀とギルベルトたちは敵同士なのだと理解した。
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