それでも、あなたを愛してる。【終】
ドレス選び
☪︎
「─え、私が選ぶの?」
「うん。オーダーメイドが良かったけど、時間が無いから、今回は既製服で。自分の愛する人に着てほしい服ってイメージで選んで、彩蝶」
「ええ?」
困惑、を、そのまま書いたような顔をして、彩蝶が固まった。それを見ながら、契はとりあえず雑誌を開いて、適当に選択する。
1日がかりの仕事だから、休みを取った。
勿論、彩蝶も。
本人に何も説明せずに連れてきたから、何も分かっていない様子ではあるけど……。
「凛は家のことで来れなくて、千景や千陽には婚約者はまだいないし、寂しいね。翠」
ため息混じりに、彩蝶が呟く。
すると、鈴が鳴るような声で笑った翠─凛の最愛の婚約者は、椅子に座って。
「寂しいけど、嬉しいよ。凛の涙、久々に見たの。いっぱい、頑張っていたの。だから、いっぱい、おじさんに褒めてもらわなきゃ」
─先日、凛の父親が帰ってきてから。
少しばかり、桔梗家は騒がしい。
凛は頑張りすぎる奴だから、今日は翠がひとりでドレスを選びに来ていた。勿論、ついでに凛の分も選ぶらしく、張り切ってる姿は可愛らしい。
「彩蝶、これ」
「ん〜?」
「彩蝶に似合いそう」
「ええ?本当?こんなに可愛いのが?」
「うん。可愛いのが。彩蝶には似合うよ」
楽しそうに女子トークをするふたりの姿を眺めていると、震えたスマホ。
画面を見ると、先日、連絡先を交換したお義兄さんからメールが来ていた。
連絡手段を何も持たないと言った彼にスマホを渡しておいたが、問題なく使えているらしく、一安心だ。
内容を確認すると、
『ドレスを送ってくれるってことだけど、ひとつ伝えておこうと思って……依月の髪色のことなんだけど、契の元にいた時は色素が薄い子だから、明るい茶色だったと思うんだけど、今は封印の関連で真っ白?というか、銀色みたいな髪色なの。ドレスを選ぶ上で重要かなって……あとね』
と、色々な、今についての情報が書かれている。
『有難いな〜』と思いつつ、選んだドレスを見直していく中で、目に止まった深い夜空のような青に、星のように宝石が散らばる輝きが目を引くドレス。
冬の家の、雪の中、静かなあの兄妹は色白で、今の髪色が無くても、こういう深い青が似合う。
「─え、私が選ぶの?」
「うん。オーダーメイドが良かったけど、時間が無いから、今回は既製服で。自分の愛する人に着てほしい服ってイメージで選んで、彩蝶」
「ええ?」
困惑、を、そのまま書いたような顔をして、彩蝶が固まった。それを見ながら、契はとりあえず雑誌を開いて、適当に選択する。
1日がかりの仕事だから、休みを取った。
勿論、彩蝶も。
本人に何も説明せずに連れてきたから、何も分かっていない様子ではあるけど……。
「凛は家のことで来れなくて、千景や千陽には婚約者はまだいないし、寂しいね。翠」
ため息混じりに、彩蝶が呟く。
すると、鈴が鳴るような声で笑った翠─凛の最愛の婚約者は、椅子に座って。
「寂しいけど、嬉しいよ。凛の涙、久々に見たの。いっぱい、頑張っていたの。だから、いっぱい、おじさんに褒めてもらわなきゃ」
─先日、凛の父親が帰ってきてから。
少しばかり、桔梗家は騒がしい。
凛は頑張りすぎる奴だから、今日は翠がひとりでドレスを選びに来ていた。勿論、ついでに凛の分も選ぶらしく、張り切ってる姿は可愛らしい。
「彩蝶、これ」
「ん〜?」
「彩蝶に似合いそう」
「ええ?本当?こんなに可愛いのが?」
「うん。可愛いのが。彩蝶には似合うよ」
楽しそうに女子トークをするふたりの姿を眺めていると、震えたスマホ。
画面を見ると、先日、連絡先を交換したお義兄さんからメールが来ていた。
連絡手段を何も持たないと言った彼にスマホを渡しておいたが、問題なく使えているらしく、一安心だ。
内容を確認すると、
『ドレスを送ってくれるってことだけど、ひとつ伝えておこうと思って……依月の髪色のことなんだけど、契の元にいた時は色素が薄い子だから、明るい茶色だったと思うんだけど、今は封印の関連で真っ白?というか、銀色みたいな髪色なの。ドレスを選ぶ上で重要かなって……あとね』
と、色々な、今についての情報が書かれている。
『有難いな〜』と思いつつ、選んだドレスを見直していく中で、目に止まった深い夜空のような青に、星のように宝石が散らばる輝きが目を引くドレス。
冬の家の、雪の中、静かなあの兄妹は色白で、今の髪色が無くても、こういう深い青が似合う。