それでも、あなたを愛してる。【終】



「……私は、どうすれば良い?」

震えた声だった。
翠を見上げて、尋ねる彩蝶。

四ノ宮家の中で、神様たち以外味方のいない彼女はどんどん狂っていっている。

救いのない環境。
気を抜けば、命を狙われる環境。
結婚のことだってそう。
お世辞ばかりですり寄ってくる、老若男女。

自然の中で、そのままの形で愛されてきた彼女にとって、この世界はあまりにも狭く、汚く、息苦しく、その責任は、血筋は重たい。

「どうすればいいの……」

─もう、かなり限界だったのだろう。
だからこそ、契はほぼ強制的に、彩蝶の休みをもぎ取った。翠からの発案だったが、良かった。

たまに集まるだけじゃ、守りきれてない部分はあるって言葉、信じて良かった。

疑心暗鬼になるしかない世界で、彼女の瞳にはまだ、光を見い出せる。

「簡単よ。私達には出来ないことを、貴女にはして欲しいの」

「出来ない、こと……?」

彩蝶の不思議そうな声に、翠は笑った。

「とある記憶の再生のために、貴女の神力を貸してほしいの。それと、今の私のドレスを選ぶ手伝いもして欲しいなー♡」

翠の笑顔と、あっさりとした物言いでありながら、意味のわからない前半の内容を聞いた彩蝶は頭の回線が混雑したのか、暫く、固まっていた。

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