それでも、あなたを愛してる。【終】



「まぁ、未来は変わるかもしれないし。どうなるかは分からないけど。……とりあえず、彩蝶に話すことにする。時間だけ、無駄にしてもな」

「……色々と衝撃だけど、俺もそう思う。とりあえず、彩蝶に相談してあげてくれ。あれでも、四季の家のトップだ。上手く考えるよ」

「そうだな。─そろそろ、前に進まないとな。父さんと母さんに怒られてしまう」

そう言って笑った悠生は、どこか元気なく。
契がなんて声をかけようか悩んでいると、

「にぃ、に」

いつの間にか寄ってきた誉がよちよち歩きで、座った悠生の膝に掴まった。

「お、どしたー、誉」

「─フフッ、お兄ちゃんを見て、急に方向転換するんだもん。ビックリしちゃった」

葵咲を抱きながら、にこにこと誉も抱き上げる悠生。誉が産まれる前に、子どもに慣れているとは聞いていたけど、本当に器用だ。

誉はまだ少ししか話せないけど、何事にも好奇心旺盛で、これで走れるようになった日には……と、夫婦で危機感を抱いている。

「伯父さん、頑張るからな〜」

「ばて!」

恐らく、頑張って、だろう。
可愛らしい姿に、悠生は癒され、俺達は夫婦で笑い合った。

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