それでも、あなたを愛してる。【終】



「……迅(ジン)、静、人間って難しいね」

「人間しか経験ないからわからないけど、少し複雑かもしれないね」

「うん。難しい。いっつも、アマネとしか会話しないから……」

「そういや、今日、彼女は?」

「うーーん、?なんか、病院?って」

「ついて行かなくて良かったの?」

「ついてこないでって言われた……」

両親と仲良さげに話し、シュンと肩を落とすユエは契の方を見ると、

「僕、話すの苦手みたいで。ごめんね、契」

と、微笑んだ。

「千景と凛もごめんね。警戒しないで〜人間、まだ20年くらいしかしてないから難しいんだ〜最近まで、閉じ込められてたし」

「閉じ込め……?」

「僕の存在はね、厄介なんだって。だから、幼い頃から、僕はアマネとふたりきりなの。人間はね、僕とアマネが邪魔なんだって。酷い話だよね。これでも僕、始祖なのに」

むうっ、と、頬を含ませるユエ。
……シソ?しそ……、始祖?

「始祖って、始まりの!?」

混乱する契を置いてきぼりに、声を上げたのは凛だった。

「うん♪大正解〜」

「大正解って……確かに、“管理者”が始祖はこの世界に戻られていると言ってたけど……」

「わお、皇ってば、そんなこと言ってたの?まあ、別に口止めしてないからいいけど〜、まさか自分がそんな存在だとは思ったことがなかったんだけど、アマネとふたりきりの世界を利用されていたとしたら、もう許せないもんね」

相変わらず、的を得ない話し方だ。

そもそも、始祖ってなんだ。1000年以上は確実に前の、この四季の家の起源の話。


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