それでも、あなたを愛してる。【終】


「僕は、アマネを愛しただけだよ」

「……」

ユエはそう言いながら、自分の手を天井に向かって伸ばし、小さな声で話し出す。

「僕は気付いたら、ひとりで生きていた。音も何も無い世界で、僕だけが存在した。最初は何も思わなかったのに、次第に寂しくて仕方がなくなって、僕はアマネを創ったんだ〜」

「ユエって、神様なの?」

「ん〜?わかんない。でも、前はアマネとふたり、沢山生きたよ。赤ん坊がおじいちゃんになって死ぬのも、その孫も、そのまた孫の孫が死ぬところも見るくらい、長生きしたよ」

「それで死んだの?」

「よく覚えてない☆でも、アマネは人間に殺されたんだ。自分の子孫である、君達の先祖にね」

「「「……」」」

「んで、また気づけば、僕は僕として幽閉されてた。邪魔なんだって言われて、まぁ、そばに何故かアマネがいたから、どんな場所でもどうでも良かったんだけど……皇のお父さん、司宮の今の当主がね、僕に会いに来たの。一度、全てをリセットして欲しいって。一部の欲望で壊れてしまった“今”を、整えて欲しいって。身勝手な話だなって思いはしたけど、まぁ、あいつも、匡(タクミ)も巻き込まれた側だしね〜」

何故か、どんどん大きくなる話についていけなくなっていると、

「アハッ、そんな顔しないで。めちゃくちゃに複雑だけど、どうせこれはもう過去なんだからさ。皇も止めなくちゃならないし、紫苑も呼び止めなくちゃならないし、やることいっぱいだな〜」

ユエはそう言いながら、凛に近付いて。



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