それでも、あなたを愛してる。【終】
「……お願いがあるんだけど、」
「なんですか?」
「もしもの話、だけどね」
「はい」
声が震えそうになるのを堪えながら、刹那は微笑んだ。
「俺が狂った暁には、俺を殺して。確実に、心臓を撃ち抜いて。俺が狂って、化け物を表に出す前に」
─きっと、それが、最適解。
依月を契の元へ返す、彩蝶が幸せになる、そして、【運命の調律者】としての選択は。
刹那の選択に、彼は驚いていた。
けど、すぐに目を伏せて。
「俺にしかできませんもんね」
と言いながら、
「承りました」
と、微笑んだ。