それでも、あなたを愛してる。【終】



「……お願いがあるんだけど、」

「なんですか?」

「もしもの話、だけどね」

「はい」

声が震えそうになるのを堪えながら、刹那は微笑んだ。





「俺が狂った暁には、俺を殺して。確実に、心臓を撃ち抜いて。俺が狂って、化け物を表に出す前に」




─きっと、それが、最適解。
依月を契の元へ返す、彩蝶が幸せになる、そして、【運命の調律者】としての選択は。

刹那の選択に、彼は驚いていた。
けど、すぐに目を伏せて。

「俺にしかできませんもんね」

と言いながら、

「承りました」

と、微笑んだ。



< 84 / 186 >

この作品をシェア

pagetop