君の隣が、いちばん遠い


そんな思いを抱えたまま、夏休み最後の日がやってきた。

蝉の声も弱々しくなり、夕暮れの空はどこか寂しげで。


わたしと一ノ瀬くんは、久しぶりに河原沿いのベンチに並んで座っていた。


「ここ、懐かしいね」

「うん。春にも来たよね」


あのときと同じように、わたしたちは静かに並んで、少しだけ沈黙を共有した。


川の向こう岸には、花火の音が微かに聞こえていた。

どこかの町の、夏の終わりの風物詩だ。


「……ねえ、一ノ瀬くん」

「ん?」

「この夏、もう少し一緒にいたかったなって、思ってる」

「……うん。俺も、そう思ってた」


わたしの言葉に、一ノ瀬くんはゆっくりうなずいた。


「でも、ひよりががんばってるの、分かってたからさ。邪魔しちゃいけないって思ってた」

「……ありがとう」

< 210 / 393 >

この作品をシェア

pagetop