君の隣が、いちばん遠い
そんな思いを抱えたまま、夏休み最後の日がやってきた。
蝉の声も弱々しくなり、夕暮れの空はどこか寂しげで。
わたしと一ノ瀬くんは、久しぶりに河原沿いのベンチに並んで座っていた。
「ここ、懐かしいね」
「うん。春にも来たよね」
あのときと同じように、わたしたちは静かに並んで、少しだけ沈黙を共有した。
川の向こう岸には、花火の音が微かに聞こえていた。
どこかの町の、夏の終わりの風物詩だ。
「……ねえ、一ノ瀬くん」
「ん?」
「この夏、もう少し一緒にいたかったなって、思ってる」
「……うん。俺も、そう思ってた」
わたしの言葉に、一ノ瀬くんはゆっくりうなずいた。
「でも、ひよりががんばってるの、分かってたからさ。邪魔しちゃいけないって思ってた」
「……ありがとう」