君の隣が、いちばん遠い
班決めの日は、あっけないほどスムーズだった。
「一ノ瀬たち、もう決まってるでしょ?」と担任の久遠先生に言われ、わたしたちは静かにうなずいた。
黒板に4人の名前が並ぶ。
それを見た瞬間、わたしは心の中で小さく思った。
この班でよかった、って言えるような時間になりますように。
その願いは、きっとわたしだけじゃない。
放課後、文化祭の準備が早めに終わって、わたしは一ノ瀬くんと並んで帰っていた。
歩きながら、わたしは話を切り出す。
「あのさ……紗英ちゃんと柊くん、ちょっとぎこちないよね」
「まあ、見てればわかるな」
「わたし、なんかできないかなって思ってて。ほら、前にさ、ふたりがわたしたちのこと応援してくれてたでしょ?」
「うん、でもな……」
一ノ瀬くんは、少し眉をひそめた。