君の隣が、いちばん遠い

③君と見る、知らない景色



「新幹線のチケット、なくしてないよね?」


そう声をかけてきたのは紗英ちゃん。


朝の集合場所、学校の昇降口前。

クラスメイトたちの緊張と興奮が入り混じった声が飛び交う中で、わたしは少し緊張気味に首を縦にふった。


「うん、ここにちゃんとある」


制服の上から羽織ったカーディガンのポケットに手を入れて、チケットの感触を確認する。

これがないと始まらない、今日からの三日間。


今日から、待ちに待った修学旅行。

行き先は京都と奈良。

誰もが一度は写真で見たことのあるような、古都の風景を実際に自分の目で見るんだと思うと、少しだけ鼓動が速くなった。


「一ノ瀬、柊、こっち来て〜」


紗英ちゃんが手を振ると、少し離れた場所で話していた二人がこっちにやって来た。

一ノ瀬くんはわたしの隣に自然と立ち、軽く目を合わせてくれる。


「荷物、重くない?」

「ううん、大丈夫。むしろ楽しみでちょっとテンション高いかも」


一ノ瀬くんがクスッと笑った。

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