君の隣が、いちばん遠い
美帆ちゃんは背中を押してくれた。
でも、わたしはすぐに決定せずに、美帆ちゃんに付き合ってもらいながら、納得いくまでプレゼント選びに没頭した。
けれど、わたしはこの日プレゼントを最後まで選ぶことができなかった。
「ごめんね、美帆ちゃん。せっかく付き合ってもらったのに」
「いいのよ~。大事な一周年のプレゼントだしね。じっくり選びたいよね」
――わたし、ちゃんと伝えられるかな。この一年のありがとうと、これからも一緒にいたいって気持ち。
帰り道、イルミネーションが灯った街の中を歩きながら、わたしはそっとスマホを取り出した。
【今年のクリスマス、楽しみにしてるね】
一ノ瀬くんに送ったそのメッセージに、「うん、俺も」とだけ返ってきた短い返信。
でも、その一言が、まるで手をつないでくれているみたいに、あたたかかった。
プレゼントをカバンの奥にしまって、わたしは歩き出す。
今年のクリスマス、そして、一緒に迎える記念日。
心から笑える一日にしたい。
――その日を、となりで迎えられることが、わたしにとっての何よりの贈り物だから。