君の隣が、いちばん遠い


プレゼント……きっと、一ノ瀬くんも何か準備してくれてるんだ。

それだけで、胸の奥がぎゅっとなる。


わたしだけじゃない。

彼も、同じように、この日を大切に思ってくれている。


そのことが、言葉にできないほど嬉しかった。


【……うん、ありがとう。わたしも、がんばる】


そう返信したあと、もう一度、ブレスレットが入った紙袋をぎゅっと抱きしめた。


そのあと、紗英ちゃんからすぐに電話がかかって来た。

柊くんと一ノ瀬くんが駅前のカフェで話していたらしい、と後から紗英ちゃんからの報告が上がる。


「なーんかさ、めっちゃ悩んでたっぽいよ。『何かを渡すだけじゃ足りない気がする』って」

「……そうなんだ」

「うん。でもさ、そうやって悩んでくれるのって、嬉しくない?」

「……うん、すごく」


電話越しでも、紗英ちゃんの表情が浮かぶようだった。

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