君の隣が、いちばん遠い
――だからこそ、伝えたい。
ありがとうの気持ちを、ちゃんとカタチにして贈りたい。
目線を落としたその先で、小さな革のブレスレットが目に入った。
細めのレザーに、さりげなく銀のパーツがあしらわれている。
シンプルだけど、洗練されていて、一ノ瀬くんの雰囲気にぴったりだった。
「……これ、いいかも」
そっと手に取ってみると、わたしの手の中でそのブレスレットは不思議と馴染んだ。
しかも、女性用のかわいらしいものもセットで売られているものもあった。
一緒につけられたら、幸せかも。
ラッピングをお願いして、リボンの色を選ぶ。去年の冬にわたしが彼にあげたチョコのラッピングと同じ、深い青。
たったそれだけで、涙が出そうになった。
「これ、お願いします」
わたしは小さく、でもしっかりと店員さんにそう告げた。
帰り道、紗英ちゃんからメッセージが届いた。
【ねえ、知ってる? 一ノ瀬、最近よく柊とどっか行ってるっぽいよ。何か探してる感じ】
ドキリとした。