君の隣が、いちばん遠い


第一志望の教育学部。

倍率は……15倍。


知ったとき、正直言って足がすくみそうになった。


だけど、それでも。

この夏、悩んで、迷って、それでも「先生になりたい」と思った気持ちは、本物だった。


推薦は書類と面接での勝負になる。

わたしにできるのは、伝えること。

思いを、言葉にして届けること。


だからこそ、書かなきゃいけない。

わたしの全部を、言葉に。


「久遠先生、志望理由書、見ていただけますか?」


放課後、職員室の前でわたしは声をかけた。


「もちろん。どれどれ……」


わたしが差し出した用紙を、先生は丁寧に目を通していく。


ときおり、ペンを動かしながら「ここはもう少し具体的に書けるかな」とか、「自分の経験と結びつけると、説得力が増すよ」とアドバイスをくれる。

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