君の隣が、いちばん遠い
久遠先生に見てもらうのは、緊張もしたけれど、なにより心強かった。
「ひより、国語が好きって気持ち、すごく伝わってくるよ。あとは、“なぜ先生になりたいか”を、もう少し深掘りしてみようか」
「……はい。がんばります」
「うん、焦らなくていい。自分の言葉で、書けばいいよ」
その言葉に、ふっと肩の力が抜けた。
教室ではどこか張り詰めていた気持ちが、少しだけ和らいでいく。
図書室は、放課後の光が差し込んで、どこか穏やかな雰囲気だった。
遥くんと並んで座る机。
お互い、問題集に向き合いながら、時々ペンの音とページをめくる音だけが静かに響いていた。
「……これ、わかる?」
わたしが小声でノートを見せると、彼は少し顔を寄せて、問題をのぞきこむ。
「うん、これはこの文法の応用……ほら、ここ」
「……あ、なるほど。ありがとう」
遥くんとこうして勉強する時間は、夏休み中ずっと続けてきた。
けれど、学校の中で並んで座るのは、また少し違った感覚がした。