君の隣が、いちばん遠い


窓の外は、夕焼け。

校舎に差し込む光が、教室を赤く染めていた。


わたしはたぶん、まだ人の輪の外にいる。


──でも、今日のわたしは、ほんのすこしだけ。


誰かと、笑えた。

 

黒板の端に、ふたりで貼ったスローガンがまっすぐ掲げられている。


「ひとつになる日へ」


その言葉に、ひよりはそっと目を細めた。


誰にも気づかれないように、そっと。

でも確かに、笑っていた。



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