君の隣が、いちばん遠い
②卒業の日、伝えたいこと
朝、鏡の前に立った自分の姿を見て、少しだけ胸が締めつけられた。
いつもと同じ制服。
けれど、これを着るのは、きっと今日が最後だ。
リボンをきゅっと結び、ブレザーの前を整える。
スカートの丈、袖の長さ、靴の感触。
すべてが体に馴染んでいるのに、それらが“卒業”というひとつの区切りをまとっているようで、少しだけ背中が重く感じた。
「ひより、準備できた?」
階下から叔母さんの声が聞こえる。
返事をして階段を下りると、美帆ちゃんがスマホを構えて「卒業式仕様、撮っとこ」とにやにやしている。
「ちょっと、やめてよ……」
そう言いながらも、わたしは思わず笑っていた。
外はよく晴れていて、空気は少しひんやりしていたけど、それさえも清々しいと思えた。
学校へ向かう道のりで、自然と足取りはゆっくりになる。
ひとつひとつ、景色を焼き付けるように。