君の隣が、いちばん遠い
③家族と過ごす、最後の夜
ダンボールの中に、ひとつひとつ詰めた生活用品や文具、参考書やノート。
部屋の中に段ボールがいくつも並ぶ光景は、もうここでの生活が終わることを、少しずつ現実にしていくようだった。
「こんなに物、あったんだね……」
自分の声が、少しだけ遠くに感じる。
高校の教科書、ひとりで夜中に書き込んだノート、あのときの模試の結果。
全部、持っていくつもりでいたけど、ダンボールはあっという間にいっぱいになってしまった。
「ねえ、これも持ってく?」
部屋のドアをノックして、美帆ちゃんが顔をのぞかせた。
手には、ここ数年の思い出が詰まったアルバムがあった。
「え、それ……。あ、でも、それはこっちに置いていこうかな。いつでも見に来れるもんね」
「だよね。……一応、保管しといてあげる。頻繁に帰ってくること!」
そう言って部屋に入ってきた美帆ちゃんが、畳んだ洗濯物をぽん、とベッドの上に置く。