君の隣が、いちばん遠い


大事に持ってきたこのカップを、小さなキッチンの棚に置いてみる。


「……よし」


何もかも、これからだ。

料理も、学校生活も、一人での生活も。わからないことだらけ。

でも、ちゃんと向き合って、ちゃんと笑っていたい。


大学の入学式は数日後。

その間に揃えるものはたくさんあるけれど、今日はまず自炊に挑戦してみることにした。


献立は、玉子焼きと、インスタントの味噌汁。

それに冷凍のからあげ。


「最初は、これで……いいかな」


買ってきた食材を袋から出して、調味料の位置を探りながら料理を始める。

焼き加減に悩んでいるところで、再びスマホが鳴った。


『今夜、冷凍チャーハンにしようと思ってるけど、水の量ってどれくらい?』


ぷっ、と吹き出す。

水なんていらないはずのチャーハンに、思わず笑ってしまった。

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